架台制御ソフトSynScan Pro

2021/02/16

AZ-GTi

 AZ-GTiの制御には,SynScan Proを使っています.Aky-Watcherのサイトからダウンロードできます.現在使っているのはver.1.19.12です.主に使っているのはAndroid版でタブレットに入れていますが,必要に応じてPC版も使っています.


Synscanから,Wi-FiでAZ-GTiに接続します.AZ-GTiがアクセスポイントになる「アクセスポイントモード」と,既存のWi-Fiネットワークに接続する「ステーションモード」を選べます.いつもの観測では,ステーションモードで自宅のルータに接続して使っています.遠征する場合にはアクセスポイントモードを使うことになります.


 AZ-GTiは自動導入と追尾を行ってくれますが,そのために最初にアライメント(Alignment)を行う必要があります.これは,明るい星を望遠鏡視野の真ん中に持ってくることで,望遠鏡が現在どちらを向いているかを決める座標系のモデルを作る手順です.3スターアライメントが一番正確なモデルを作ってくれますが,視界の限られたベランダなどでは実行できないことが多いです.後で述べるSyncもありますので,実際には2スターアライメントで済ますことが多いです.アライメントのコツについて,ネットにもいろいろ情報があります.例えばLambdaさんのAZ-GTiの5つのアライメント法とツボと同期技が参考になります.


アライメントで使える星には制限があります.SynScanのマニュアルには次のように書かれています.
Alt-azimuth mount
– Altitude is between 15 and 60 degrees
– Difference between altitudes is between 10 and 30 degrees
– Difference between azimuth is between 45 and 135 degrees
– For 3-Star alignment, the first two stars should have similar altitude and the 3rd star should have 30 degree or more variant in altitude compared to at least one of the first two stars.

 つまり,経緯台では,

  • 高度は15~60度の間
  • 高度差は10~30度
  • 方位角差は45~135度
  • 3スターアライメントでは,最初の2つの星は似た高度で,3番目の星は最初の2つの星の少なくとも1つから30度以上離れた高度
である必要があります.今ひとつ詳細がはっきりしない所もありますが,通常の使い方ならSynScanが当てはまる星の候補を教えてくれるので大丈夫です.(他のソフトからアライメントする場合に問題になります.)

自動導入の精度を上げる操作にSync(同期)というのもあります.マニュアルによると,アライメントが全体のモデルを作って全天の精度をそこそこ上げるのに対し,Syncは5度×5度の小さな領域で高精度を実現するそうです.見つけにくい天体を導入したい場合,近くの明るい星でSyncすると,ターゲットの天体を高精度で導入できるようになります.

SynScanはカメラ制御ソフトやプラネタリウムソフトと連携することでより便利になります.これについても順次書いていきます.